社内外コラボレーションの壁と透明性

2015/06/18 · · 投稿者 Takashi Okutsu

フェンスソーシャルメディアが広く使われるようになり、こうしたツールを社外の顧客や取引先とのコラボレーションに活用しようという話はよく耳にします。しかし、いざ導入しようとすると、共有範囲を区分する壁の設計が問題になります。壁で隔てれば隔てるほど、社内での情報共有が進まず、情報がサイロ化してしまいます。しかし、壁を取り払ってしまうと、秘密やプライバシーの確保が難しくなります。

あなたが管理者ならば、しっかりとした壁をたくさん作って管理したいと思うかもしれません。同時にユーザーにとって使いやすくするにはどうすればいいでしょう。その答えは「壁の透明性」にあります。

Photo: Fort's fence wall by daveynin

社外用と社内用に必要な部屋

例えば、会計事務所が顧客とのやりとりにコラボレーション ツールを使用する場合、次のようなことが必要になります。

  • ある顧客と会計事務所の担当者だけが入れる「部屋」を用意する。
  • この「部屋」には他の顧客は入れない。(ある顧客の情報は他の顧客から見られない)
  • 担当者以外の事務所スタッフも「部屋」に入れる。(会計事務所内の情報共有のため)
  • 担当者は、自分た担当する他の顧客の「部屋」にも入れる。(1人の担当者が複数の顧客を担当するため)

下図ようなイメージです。

顧客対応の「部屋」の構成図

顧客にはその顧客用の部屋しか開放されていません。一方、会計事務所にはすべての顧客部屋が開放されていて、すべての部屋の中を高いところから見下ろして全体的な動向を見渡せます。

このような部屋をさらに用意することで、顧客だけでなく他の社外取引先とのコラボレーションにも広げられます。例えば、広告代理店、監査法人、技術パートナー企業、法律事務所…などの部屋を作り、特定の業務を部屋ごとに進めつつ、会計事務所スタッフが全社的の動向をつかめるようにできます。

また、例えば役員やマネージャーといった特定のグループ用のプライベートな部屋や、人事部の健康相談室といった特定の目的の部屋も作れます。

TeamPageでの部屋と権限

TeamPageでは、このような仕組みを次のように実現します。

  • すべての投稿データは検索エンジンのインデックスに登録されますが、検索エンジンは、検索を実行するユーザーの読み取り権限があるものだけを表示します。
  • タグ一覧や同じタグが付いた記事の一覧ページには、ユーザーの読み取り権限のあるものだけが表示されます。
  • ダッシュボードには部屋(スペース)の壁を超えてさまざまな条件で情報を集約できますが、すべて読み取り権限のあるものだけが表示されます。
  • 他の記事へのリンクは、リンク先の読み取り権限がある場合だけリンクとして動作します。読み取り権限がない場合は単なるテキストとして表示され、リンク先を参照できません。

社内スタッフにとって、顧客の部屋や社内部屋を隔てるものは透明な壁です。「どの顧客に関する情報なのか」や「社内のどの案件に関係する話なのか」を部屋番号から判断できますが、どの部屋にあるものでも(読み取り権限があれば)自由に取り出してコラボレーションに活かせます。

一方、TeamPageにログインした顧客が見える(読める)のは、共有部屋と自分用の部屋の情報だけです。他の顧客の部屋や会計事務所内の部屋は見えません。

壁を越えてのディスカッション

TeamPageでは、更にこの「透明な壁」を通してのコメントやディスカッションができるように設計されています。

例えば、顧客A社が製品レビューを顧客A社の部屋に投稿するとしましょう。この部屋で読み取り権限のある社内スタッフは、製品レビュー記事のあらゆる段落に対してコメントを付けられます。コメントを同じ部屋に投稿すれば、顧客A社も読める「お客様宛てのお返事」になりますが、このとき、別の社内専用の部屋に「お客様からは見えない、社内宛のメモ」として投稿することができます。

顧客Aがレビューした製品の開発を担当している社内スタッフがいるとします。彼は、レビュー記事の5段落目を読み、「これと同じような改善案は別の顧客B社からも先日寄せられたばかりだな」と思い出します。そして、この4段落目に顧客B社からの改善案へのリンクを記入し、社内の「開発部」部屋に投稿します。こうして、「開発部」部屋に場所を移してのディスカッションが始まります。このディスカッションを閲覧できるのは、「開発部」部屋の閲覧権限のある社内スタッフだけです。

投稿先スペースを変更

「開発部」でのディスカッションが終わったら、ディスカッションの内容をまとめ、「顧客A社」や「顧客B社」の部屋に投稿します。社内からは、レビュー記事から社内ディスカッションが始まり、その末に顧客へお知らせするまでの全体の流れが見えます。顧客は自分の投稿したレビューと社内ディスカッションの結論は読めますが、その間のディスカッションは読めません。

ディスカッションの先頭は顧客A社のレビュー記事5段落から派生しており、なおかつ顧客B社の改善案へのリンクを含むので、ディスカッションから元の話(顧客A社のレビューや顧客B社の改善案)へ遡ってアクセスできます。

別のスタッフが同じような話を顧客C社から受けたとき、TeamPageを検索すれば過去の社内ディスカッションが見つかります。ディスカッションを先頭には顧客A社レビューの第4段落への参照と顧客B社の改善案へのリンクがあるので、ディスカッションの背景や理由を簡単に確認できます。

社内「開発部」でのディスカッション

このように、TeamPageの複数のスペース構成は、社内外の立場(権限)の異なるグループでも同時に使える情報共有の場を提供します。立場(権限)によって部屋の壁の透明性が自動的に確保されます。同僚との打ち合わせは自分の席で、来客との打ち合わせは会議室で、社内検討事項があったらちょっと席を外して、くだけた話はランチタイムに食堂で…のように、話をする場所(部屋)を意識するだけで良いのです。

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